〜“現場を動かす人”が採用のカギになる〜
1. はじめに:現場を支える人が足りない!
ベトナムでは2025年に入り、主任・班長クラスの給与が前年比8〜11%上昇するなど、
“中間層の人材不足”がますます深刻化しています。
この層は、現場の管理・教育・品質を支える「要(かなめ)」のポジション。
しかし、企業からはこんな声が増えています。
「現場を任せられる人が採れない」
「経験者が他社に引き抜かれてしまう」
「給与レンジを見直しても、応募が集まらない」
かつては経営・管理職層の採用が課題とされていましたが、
今は“現場の中核を担う層”こそ、最も採りにくい層になっています。

2. 給与上昇の背景にある3つの理由
① ローカルマネジメント化の流れ
日系・外資系を問わず、現地で自走できる組織作りを進める企業が増加。
その中で、主任・班長クラスが「現場マネジメントの中心」として再評価されています。
② 現場力=企業競争力という意識の高まり
生産性、品質、チーム統率──
これらを左右するのは、最前線でメンバーを束ねる中間層です。
その重要性が認識されるにつれ、各社が給与引き上げやポジション見直しを行っています。
③ 異業種への人材流出
製造業出身者が、近年は物流・商社・小売など他業種へ転職する動きも。
「管理スキルを持つ人」は業界を超えて引き合いが強く、
結果として、給与上昇が全体に波及しています。
3. データで見る主任・班長クラスの給与動向
| 職位 | 2024年中央値 | 2025年中央値 | 上昇率 |
|---|---|---|---|
| 主任(オフィス・技術職) | 約25.2 million VND | 約27.3 million VND | +8.2% |
| 班長(製造・工場現場) | 約12.6 million VND | 約14.0 million VND | +11.1% |
現場監督層の給与上昇率は、部長・課長層を上回るペースで進行中。
つまり企業は今、「上より下が上がる」構造的な人件費圧力に直面しています。
4. 企業がいま取るべき3つの対策
✅ ① 給与レンジの再設計
中核層の市場相場を把握し、自社テーブルを見直すことが最優先。
給与レンジが市場より低いと、採用難や早期離職のリスクが高まります。
✅ ② キャリアパス・教育体制の整備
給与アップだけでは離職防止になりません。
「リーダーとして成長できる道筋」を示すことが、モチベーション維持に直結します。
✅ ③ データに基づく賃金戦略
“感覚値”ではなく、最新の市場データを根拠にした給与設計を。
業界・地域・職種ごとに適正値を把握し、採用コストと定着率のバランスを最適化することが重要です。
5. 今後の見通し:採用の主戦場は“現場リーダー層”へ
これまで「管理職候補」や「エンジニア」が採用難の中心でしたが、
2025年以降は**“主任・班長クラス”が新たなボトルネック**になると見られています。
この層を確保できるかどうかが、
生産現場の安定性・品質・納期・顧客満足度を左右します。
言い換えれば、**現場を支える人材こそ、企業の競争力を左右する“本当の幹部”**になっているのです。
💡まとめ:人材不足時代こそ、給与とキャリアの「見える化」を
ベトナムでは、経済回復と投資拡大に伴い、
あらゆる業界で「経験を積んだミドル層」の奪い合いが進んでいます。
この流れは一時的なものではなく、今後も続くと見られます。
だからこそ、企業は給与・育成・評価を可視化し、“人が育ち、定着する”仕組みを作ることが求められています。

🌿弊社では、給与相場データを活用した採用・定着支援を行っています
-
ベトナム全土の最新給与動向・職種別相場データをご提供
-
貴社の給与テーブルを市場と比較し、最適な見直しをご提案
-
中核層の採用支援・面接フォロー・定着支援もワンストップで対応
「主任・班長クラスの採用に苦戦している」「給与水準を見直したい」
そんな企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください。