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口コミサイトで企業が損をしないために。人事が知っておきたいベトナム採用事情

口コミサイトで企業が損をしないために。人事が知っておきたいベトナム採用事情


ベトナムでは、求職者の約 7 割が「企業評価サイトを参考に転職を判断する」と言われています。
口コミ1つで応募数が増減する時代、企業は“知らずに損するポイント”が増えています。
今回は、評価サイトの実情と、企業が今すぐ見直すべき対策をまとめました。

 

1. はじめに:面接前に“会社の口コミ”を検索する時代

Jobfull Partnerが行った簡易調査では、「企業評価サイトの情報を信じていますか?」という問いに対して、
およそ 70%のベトナム人が「ある程度信頼できる」と回答しました。

つまり、半数以上の求職者が“参考にしている”状態であり、
企業の採用活動に無視できない影響を与えています。


特に、内定受諾前には企業の評判をインターネットで検索し、
給与・人間関係・上司・ワークライフバランスといったリアルな情報をチェックする動きが広がっています。

こうした背景には、求職者が「できるだけ失敗しない転職をしたい」という意識の高まりがあります。
しかしその一方で、情報の信ぴょう性やリテラシーの問題も浮き彫りになっています。


〇 ベトナムでよく使われている企業評価サイトとは?

近年、ベトナムでは「応募前に会社を調べる」ことが当たり前になり、
特に “企業評価サイト” を利用する方が多いです。

求職者の間でよく使われるサイト例はこちらです:

  • 1900.com.vn/review-cong-ty
     → 各業界ごとの企業レビューが閲覧可能。星評価やコメント形式。
  • reviewcongty.vn
     → 在籍経験者や候補者が会社を評価する人気サイト。投稿量が多く注目度が高い。

これらのサイトは求職者にとって有益な情報源である一方で、
投稿者の実在確認や情報の真偽チェックが十分に行われていない場合もあります。


〇 SNSでも広がる“企業レビュー文化”


さらに近年では、
Facebookグループを通じた情報交換も活発です。
たとえば、
Hội Review Công ty – Chuyện Công Ty Tao」
Review Công Ty Có Tâm

といったグループでは、匿名で会社に関する体験談を投稿でき、
時には求人応募や内定受諾の判断に影響を与えるケースも見られます。


しかし、これらのSNS投稿は
誰でも書き込める特性があるため、
感情的なコメントや個人的なトラブルに基づく投稿も少なくありません。
企業にとっては誤解を生むリスク、求職者にとっては情報の取り扱いリテラシーが問われる場面です。

 


2. 採用企業ができる対策とアクション

企業がこの流れにどう向き合うか——
ポイントは「情報の管理」と「情報発信」のバランスを取ることです。


社内に「安全に意見を伝えられる仕組み」をつくる


ネガティブな口コミが増える大きな理由の一つは、
社員が安心して意見を言える場が社内にないことです。

企業ができる対策としては:

  • 匿名で意見を投稿できる社内アンケート・意見箱を設置する
  • 上司と部下の 1on1 を定期的に実施する
  • 問題や不満を気軽に相談できる心理的安全性の高い職場づくりを行う

こうした取り組みを行うことで、
従業員が外部の評価サイトで“吐き出す必要”が大幅に減ります。

 

 〇「対話する文化」を社内に根付かせる


「社内のことを外で話さないように!」という禁止だけでは、逆効果になる場合があります。

代わりに、会社として明確に伝えるべきは:

  • 会社はフィードバックを歓迎している
  • 社員の意見は会社改善に役立つ
  • 社内情報の取り扱いルールを丁寧に説明する

“禁止”よりも、
「会社が耳を傾ける姿勢」を示すことのほうが、社員の行動を良い方向に導きます。

 

ただし悪質なケースは個別対応を


もちろん、すべてを許容する必要はありません。

以下のようなケースは、会社として正式に対応すべきです:

  • 意図的に虚偽の情報を流し、会社に損害を与える行為
  • 個人・企業を誹謗中傷する行為
  • 機密情報・営業秘密の漏洩

このような場合は、人事の正式なプロセスに沿って、個別に話し合い・注意・必要であれば懲戒対応を行うことが重要です。

 

“書き込みを消す”より、“企業の信頼を積み上げる”


最終的に、企業の評判を守る最も効果的な方法は

口コミを「消す」ことではなく、
企業としての信頼やブランドを積み上げることにあります。


企業のイメージは、次のような日々の積み重ねでつくられます:

  • 公平で透明性のある人事制度・福利厚生
  • オープンな企業文化
  • 社員を尊重し、話を聞く経営者
  • 働きがいを感じられる職場環境


こうした土台がしっかりしていれば、

たとえ一部の悪い口コミがあっても影響は最小限に抑えられます。

 

〇 “公式の声”を発信できる場所を作る


求職者が口コミを信じるのは「公式情報が少ない」からです。

だからこそ企業は、自ら発信する環境を整えることが効果的です。

例:

  • LinkedIn・Facebookページ・Zalo Official などの公式SNSアカウントを開設
  • 社員インタビュー、オフィス風景、社内イベントの投稿
  • 採用ページやブログで「働く人の声」を発信


これにより、求職者が「実際の雰囲気を自分の目で確認」でき、

不確かな口コミよりも信頼性の高い印象を持ちやすくなります。




まとめ:口コミ時代に企業が持つべき姿勢


情報があふれる今のベトナム市場では、

「口コミを止める」のではなく、「正しい情報を出して、選ばれる企業になる」ことが重要です。


求職者が情報を探すスピードに合わせて、
企業も“透明性”と“発信力”を高めていくことで、
信頼を得る採用ブランディングを築けます。


Jobfull Partnerでは、採用ブランディング・社内広報・人材定着支援などを通じ、
ベトナム市場での「選ばれる企業づくり」をサポートしています。